今年のアカデミー賞授賞式からもう二ヶ月以上経ちましたが、「アカデミー」の中国国内での明るさを無視できません。「グリーンブック」「ボヘミアンラプソディ」に続いて、最優秀監督賞を受賞した「ローマ」も明日上映されます。
「ローマ」が上映されます。
映画館がアカデミー賞受賞映画を連続的に導入すると同時に、オンラインのストリームメディアプラットフォームもすでに手ぐすねを引いて待ち構えています。「アカデミー賞授賞後、短い時間で上映すればするほど、映画の宣伝発行に役立ち、そして、興行収入を突破することも可能にします。これは業界の傾向です」「ローマ」を輸入した卓然影業CEOの張進は毒眸(ID:youhaoxifilm)に語りました。
実際には、今年の「グリーンブック」を除いて、過去のアカデミー賞受賞映画の中国市場上での表現は目立っていません。現在のアカデミー賞受賞映画の中国国内での興行収入の表現と観衆の評判から見れば、市場はまだ「アカデミー」に自信を持っています。オンラインでの競争にしても、オフラインでの映画購入にしても、中国国内でアカデミー賞受賞映画を公開するのは、長く続けられる良い商売ですか?
オフラインからオフラインまで:アカデミー賞受賞映画の輸入スピードが向上します
アカデミー賞授賞シーズンの前後に、好機をとらえて中国国内で受賞映画を上映するのは珍しいことではない。
2017年前の20年の間に、中国国内で上映されたアカデミー賞最優秀映画は7本だけで、数量が極めて少ないだけでなく、輸入スピードもあまり速くないです。その年のアカデミー賞授賞式が終わって翌年に、中国国内の観衆が映画館で見られる現象がよくあります。例えば、2011年の「英国王のスピーチ」や2012年の「アーティスト」などのアカデミー賞受賞映画のように、多くは少なければ二、三ヶ月、半年、ひいては一年後に中国国内の観衆は見ることができます。
2017年になって、中国国内の映画会社の映画輸入業務の発展に伴って、アカデミーの魅力を発見した映画関係者は映画上映時間の突破を求め始めました。2017年、アカデミー賞授賞式の前の2月14日に、ノミネートされた映画「ラ・ラ・ランド」はタイムリーバレンタインデーに中国国内で上映されました。その年には「マンチェスターバイザシー」などを含めて、五本の映画がアカデミー賞授賞式の前後に中国国内で上映されました。昨年にも、「シェイプ・オブ・ウォーター」「スリー・ビルボード」を含む4本の映画が中国国内で上映されました。今年、「グリーンブック」、「ボヘミアンラプソディ」、「ローマ」が上映されるまで、アカデミー賞受賞映画が中国国内で映画館に現れるスピードは、ここ数年ずっと加速しています。
「グリーンブック」
輸入速度は向上していますが、アカデミー賞受賞映画の興行収入に輝いている時期がとても珍しいです。中国国内の観衆が商業大作に対して十分に興味がある時期には、「アバター」「タイタニック」や「レヴェナント」などの大作映画を除いて、「アーティスト」「別離」などのニッチ市場向け文芸タイプのアカデミー賞受賞映画は、往々にして興行収入が数百万しかなく、「レ・ミゼラブル」と「軍馬」などの少数の映画だけが数千万または数億元の興行収入を獲得できます。
受賞後1週間で公開された「グリーンブック」は、ニッチ市場向け文芸映画が高い興行収入を獲得しにくいという法則を打ち破りました。公開初日の興行収入は2514万元に過ぎず、昨年同様にアカデミー賞を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」の公開初日の2181万元と差は小さいが、観衆評判の広がりに伴い、公開翌日の単日興行収入は4千万元を突破し、公開3日間で興行収入は1.1億元を記録し、同時期の「シェイプ・オブ・ウォーター」の興行収入の2倍に迫り、最終的に4.78億元の興行成績も「グリーンブック」を近年最も人気のあるアカデミー賞受賞映画にしました。
歴年アカデミー賞最優秀映画の中国国内の興行収入
「ボヘミアラプソディ」も今年いい成績を収めました。同じくアカデミー賞を受賞した伝記映画として、2011年の『英国王のスピーチ』と2012年の『アイアンレディ』は興行収入はいずれも700万元を超えていませんが、「ボヘミアラプソディ」は9860万元の興行成績で7、8年前と比べて10数倍の伸びを見せました。このような成長の背景には、市場の拡大、観衆の映画に対する好みの多元化と芸術映画に対する興味を除いて、それは、全国芸術電影放映連盟専属映画館で上映することも、この映画は高い興行収入を実現できる重要な原因です—新しい上映ルートが現れて、アカデミー賞に受賞したニッチ市場向け映画に中国国内で興行収入において自分の居場所があるという新しい変化を発生させます。
興行収入が増え始めた背景には、中国国内の映画会社のアカデミー賞受賞映画への競争も激しくなっています。多くのアカデミー賞受賞映画の購入は、映画が受賞した後に発生した行為ではないので、海外のヘッド映画制作者との関係が親しいかどうかは、常にヘッド映画を手に入れる機会を決めています—関係が親しければ、映画のシナリオが完成していない時に協力を決定することができて、人脈がない買い手は制作者と交渉する機会を待つには、1年余りも必要である可能性があります。張進は毒眸に、「ローマ」を選ぶことは二年前に決められましたが、その時彼が得たこの映画に関する情報は「監督自分の物語」「白黒芸術映画」という見たところ魅力のないラベルだけです。
「ローマ」を選ぶことは二年前に決められました
アカデミー賞受賞映画が当たると、中国国内の著作権所有者は、アカデミー賞の授賞シーズンの人気によって映画の宣伝発行に寄与するよに、すぐに審査、上映日決定、上映のプロセスを始めます。「アカデミー」というラベルは、今でも、業界関係者から見れば、依然として映画の高興行収入に大きな助力です。普通の観衆の好奇心とファンの期待は、往々にして映画の興行収入の突破に寄与することができます。
そのため、アカデミー賞受賞映画が当たる能力はバイヤーにとって大きな試練です。近年、アカデミー賞受賞映画の選択が主流の商業映画からニッチ市場向け芸術映画に傾いているのにつれて、中国国内の各方面もアカデミー賞に受賞したニッチ市場向け映画の市場を意識しています。「グリーンブック」の出品者である阿里影業は、中国の観衆は審美、経験、映画の好みなどの面でますます多様化しており、同じタイプの映画を見ることに限られません。「数年前に、観衆は大作に引き付けられましたが、多く見てから、徐々に本当に心に共鳴させる内容に戻りました」と述べました。だからこそ、近年、一部のニッチ市場向けアカデミー賞受賞映画は中国国内で優れた興行成績を獲得する機会があることになります。
オフラインでの激しい競争がほか、オンラインビデオサイトもますますアカデミー賞受賞映画を重視しています。
早くも2014年第86回アカデミー賞授賞式の前日に、当時の土豆視頻は六つの大賞にノミネートされた「ダラスバイヤーズクラブ」のネット著作権を購入したと発表しました。2017年には愛奇芸もその年のアカデミー賞受賞映画「ムーンライト」と「ラ・ラ・ランド」に当たって、この二つの映画をプラットフォームで独占放送します。2018年、アカデミー賞授賞後、「優愛騰」はほぼ同時に自社で公開されるアカデミー賞受賞映画を発表しました。そのうち、優酷16本、愛奇芸18本、騰訊11本(独占放送と非独占放送を含む)です。
2018年優愛騰app上のアカデミー賞テーマページ
この前のインタビューで、愛奇芸はフォックス映画会社やライオンズゲート映画会社などと長期的な提携契約を結び、一部のヘッド映画会社の作品の放送権を獲得すると公言しました。他のいくつかのビデオプラットフォームも弱みを見せなく、すでに事前に獲得した映画に対して、いったんアカデミー賞受賞リストが発表されると、当たったプラットフォームは、ユーザーの注意を奪うために、すぐに映画を発表します。
アカデミーはオンラインでいい商売ですか?
アカデミー賞受賞映画は中国国内での上映速度がますます速くなり、興行収入も突破を実現し始めましたが、過去の歴史から見ると、興行収入の高いアカデミー賞受賞映画は多くないです。
2011年「英国王のスピーチ」の648万元の興行収入、2012年最優秀映画「アーティスト」の424万元から見ると、アカデミー賞最優秀映画という重量級の大賞は題材の制限、映画鑑賞敷居の存在のため、中国国内市場での表現はよくないです。他のいくつかの賞について、例えば、2013年第85回アカデミー賞最優秀助演男優賞・女優賞を獲得した映画「ジャンゴ 繋がれざる者」と「レ・ミゼラブル」興行収入も1788万と6305万しかないです。このような惨憺たる興行収入に加えて、多くの宣伝発行費用の投入のため、実力が足りない多くの購入者はあれこれと考える必要があります。
「レ・ミゼラブル」の興行収入は6305万しかない
しかし、ほとんどの購入者は映画がノミネートされる前にすでに映画を購入したから、受賞に伴って価格が上昇することはめったにないです。ある関係者は毒眸に、現在、アカデミー賞最優秀映画を買う市場は相対的に冷静で、映画の価格は過去数年間より上がりしましたが、全体はまだ理性的な段階にありますと言いました。「これさえ当てると、アカデミー賞最優秀映画は中国国内で依然としてコストを取り戻し、そして、収益を実現することは難しくないです。」
張進によると、観客の立場から考えて、世界的に注目度の高い賞として、アカデミーは相変わらず人気があります。「一般の観衆はやはりアカデミー賞のほうがいいんだと思っています。多くの映画と比べて、アカデミー賞受賞映画は中国国内の多くの観衆にとって依然として「高級」で、「魅力的」です」。張進は毒眸に、「今のところ、アカデミー賞受賞映画としての身分は、中国国内での興行収入の加点項目です。」と言いました。
過去の観客は長期的に商業大作を見て、審美疲労が生じた後、一部のニッチ市場向けアカデミー賞受賞映画は豊富に成長し続けている多元化映画鑑賞の需要に合致しています。このような映画の興行収入をも保障しています。加えて、現在、芸術映画を上映する映画館の建設は徐々に完備していて、芸術映画に固定的、長期的な上映場所を提供して、したがって、商業大作の圧迫を避けます。これは、別の面で、一部のアカデミー賞受賞映画に生存空間を与えます。そのため、ある業界関係者は、現在の市場環境の下で、アカデミー賞受賞映画を買うのは、依然として現在価格性能比がより高い商売だと思っています。
しかし、それは「アカデミー」であれば万全だという意味ではありません。依然としてリスクを無視してはいけません。
アカデミー賞受賞映画はしばしば輸入映画として購入されるから、輸入映画市場における「水位が上がれば船の位置も高くなる」、「三人の和尚は飲む水がない」という現状から逃れることができません。「ダンガル きっと、つよくなる」などの映画が中国国内で成功した後、ますます多くのバイヤーが輸入映画市場に進出し、熱狂的に外国語映画を高価で購入し、一部の海外輸入映画の価格が一年のうちに10倍も上昇したことを引き起こしました。あるメディアうあ、カンナ映画祭の取引市場において、一部の中国国内の映画会社が映画に対して買い占めをする際に物価をつり上げ、まだ完成品が見っていなくても購入した映画もあり、市場秩序の混乱を引き起こしましたと報道したことがあります。
「ダンガル きっと、つよくなる」
映画輸入業務については、どのようにアカデミー賞受賞映画に当たるかは簡単なことではありません。ある関係者は毒眸に、ある会社は十数本の映画を買いましたが、アカデミー賞にノミネートされたのは一つだけという現象がよくあります。ひいては、「一粒も収穫していない」という状況も普遍的に存在しています。購入したこれらの映画をいつ上映すますか、どのように宣伝しますかは、いずれもむずかしい問題です。コストを回収できない状況がよく発生します。特に、今輸入映画市場が不景気で、輸入映画のコストがだんだん高くなっている状況で、コストさえ稼がれない状況がよく発生します。
調査によると、現在、多くの映画会社は映画を買う時、アカデミー賞の「潜在的な対象」をどのように選ぶかについて、明確な考えと方法がなく、むしろ「ギャンブル」のようです。張進は「映画の選択基準は、過去のプロジェクトの経験、アカデミー賞受賞映画のタイプや題材に対する研究と集団評価の方法の流れを除いて、多くの場合、やはり主観的な感覚と直感によるものです」と告白しました。現在、実践経験のある多くのバイヤーがアカデミーの「套路」を模索し出しましたが、常に経験と個人の感覚というモードの「アルゴリズム」に基づきます。このギャンブルのもう一つのリスクは、映画を買ってアカデミー賞を入賞しましたが、中国国内で上映できないケースも少なくないです。早くも2013年には、2011年に中国本土の会社は、第84回アカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞した「ミッドナイト・イン・パリ」の著作権を購入しましたが、これまで上映されていないという報道がありました。業界関係者によると、近年アカデミー賞を受賞した多くの人気映画は、中国国内の厳しい審査制度の下でほとんど上映できないということです。公開できない場合、興行収入以外の収入はその購入コストをカバーするのに十分ではなく、「アカデミーの血」がある映画は中国国内では完全にリスクがない選択肢ではありません。
「ミッドナイト・イン・パリ」
それだけでなく、どのようにアカデミー賞受賞映画の宣伝発行において突破を実現し、より多くの観客を映画館に吸引するかも、中国国内の映画会社の能力を試練しています。一二線都市以外の普通の観衆にとって、アカデミー賞受賞映画は魅力がありますが、一定の障碍もあります。「マンチェスターバイザシー」や「ブレッドウィナー」などの映画のように、確実に宣伝しなければ、興行収入の突破が難しくなります。「グリーンブック」の5億元近くの興行収入の背景には、中国国内で「接地气」を主な宣伝発行戦略とし、これは気楽でユーモアがあり、友情を語る映画であると強調することで、映画の浸透を実現したためです。
阿里影業総裁の張蔚はこの前に毒眸を含むメディアの取材を受けた時に、「グリーンブック」と「ボヘミアラプソディ」の興行成績の成功はアカデミー賞受賞映画の中国国内での表現に光を帯びているかもしれませんが、このすべては危険に満ちた「ギャンブル」で、アカデミー賞受賞映画を買う商売の引き続きは思ったほどうまくいきません。「アカデミーであれば賭けができるということではなく、誰もこれを賭けることができません。やはり初心に戻って、なぜこの映画を作ったのか、この物語が人を感動させてくれるのか、やる価値があるのかから考えましょう」と述べました。
オリジナル:毒眸編集部 毒眸